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2010/4/21

経済産業情報

二酸化炭素をエネルギーに 人工光合成プロジェクト進む

この記事の要約

二酸化炭素(CO2)と太陽光から液体燃料を生産する人工光合成の技術開発を目指す産学協同プロジェクト「Solar2Fuel」がドイツで進められている。同プロジェクトは連邦教育研究省(BMBF)が支援する「有機電子工学フォー […]

二酸化炭素(CO2)と太陽光から液体燃料を生産する人工光合成の技術開発を目指す産学協同プロジェクト「Solar2Fuel」がドイツで進められている。同プロジェクトは連邦教育研究省(BMBF)が支援する「有機電子工学フォーラム」プログラムの一環で、参加者はCO2をメタノール(CH4)に還元する光触媒システムを研究。経済活動によって排出されるCO2を資源として活用する可能性を模索する。

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植物の光合成メカニズムを模倣して、太陽エネルギーを用いて水を酸素と水素に分解したり、水と二酸化炭素から有機物を合成する人工光合成は、化石燃料に代わるエネルギー供給と地球温暖化問題の解決策として注目を集めている。水から水素を取り出す技術についてはすでにいくつかの光触媒が発見されているが、CO2と水から有機物を合成する技術はこれまでのところ実現していない。ハイデルベルク大学、カールスルーエ工科大学、化学大手BASFとエネルギー大手EnBWが参加する今回のプロジェクトでは、この壁に挑戦している。

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Solar2Fuelプロジェクトでは、EnBWが人工光合成システムを経済性、効率性などの面から分析・試算する仕事を担当。BASFとハイデルベルク大は太陽光のエネルギーを効率的に取り出す半導体光触媒のナノ構造などを探求する。また、カールスルーエ工科大は実験及びコンピューターシミュレーションによって、人工光合成システムを物理・化学的あるいは技術的な側面から解明する。プロジェクトの取りまとめ役はBASFが務める。

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プロジェクトの実施期間は2009年6月~11年5月までの2年。予算は180万ユーロで、BMBFがこのうち約半分を拠出する。

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