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2010/8/11

経済産業情報

ソーラー発電、火災時に感電のリスク 消火できず全焼のケースも

この記事の要約

太陽光発電装置が設置された家屋で火事が発生した際に消火できないという問題が起きている。システムの最大電圧が1000ボルトと高く、作業に当たる消防士が感電する危険があるためだ。火災件数は少ないものの、消火作業ができずに全焼 […]

太陽光発電装置が設置された家屋で火事が発生した際に消火できないという問題が起きている。システムの最大電圧が1000ボルトと高く、作業に当たる消防士が感電する危険があるためだ。火災件数は少ないものの、消火作業ができずに全焼となるケースも出ており、設置世帯はそうしたリスクを念頭に置く必要があるという。7日付『ヴェルト』紙が報じた。

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太陽光発電装置は光が当たると発電する。このため事故や火災などによって電力網から切断された場合でも光があれば発電を続けており、消火のために放水したり消火液が残っている室内に立ち入ると感電するリスクが高い。ケルン近郊のレースラートでは消防士が感電して重体となり、病院に運ばれる事件が発生した。ニーダーザクセン州シュヴェリーンスドルフでは、太陽光発電装置を設置した一戸建て住宅で小規模な火災が発生したが、「感電リスクが高すぎる」として消防団は消火活動を断念、家屋は全焼した。全国消防連合会は、日没後の火災であっても「消火作業で照らすライトの光で発電するため」感電の危険性があると指摘する。

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ドイツ保険協会(GDV)によると、感電の被害に遭いやすいのは、消防団で活動するボランティアの消防士という。プロの消防隊員に比べ感電のリスクを認識する機会が少ないうえ、自主防災組織は消防署と異なり危険物用の泡消火薬剤などを装備しておらず、通常は消防用水で消火するためだ。

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GDVは今後、全国消防連合会、独ソーラー工業連盟(BSW)と共同で、太陽光発電システムが設置されている住宅の火災で気をつける点などをまとめたパンフレットを作成。注意を呼びかけていく。

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