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2010/8/11

経済産業情報

光触媒の道路舗装材で空気浄化

この記事の要約

コンクリート・自然石製品メーカーF. C. Nuedling(フルダ)が高い空気清浄効果を持つ道路用敷石「AirClean」を開発した。光触媒の二酸化チタン(TiO2)を表面に塗布しており、見た目は普通の敷石と変わらない […]

コンクリート・自然石製品メーカーF. C. Nuedling(フルダ)が高い空気清浄効果を持つ道路用敷石「AirClean」を開発した。光触媒の二酸化チタン(TiO2)を表面に塗布しており、見た目は普通の敷石と変わらないが、紫外線が当たると活性化し大気中の窒素酸化物(NOx)を分解する。これまでにフルダ市、エアフルト市、バート・ザルツンゲン市の計7つの通りで敷設されたほか、フルダ市内にあるメルセデス・ベンツ支店とBMWの販売店が民間企業として初めて敷地内に導入した。

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自動車などの排ガス量は増加を続けており、フラウンホーファー分子生物学・応用生態学研究所(IME)によると、2009年に大気中のNOx濃度が許容値をオーバーした市街地は全体の55%に上った。こうしたなか、インフラにそのまま組み込める光触媒建築材が注目を集めており、道路の遮音壁や道路舗装・住宅用コンクリートなど様々な分野で実用化が進んでいる。

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Nuedlingは「従来のセメントでは十分なNOx分解効果が得られない」として、数年前から性能向上に取り組んできた。セメントの表面構造や配合する顔料、種類、TiO2の量など条件を変えて試行錯誤を繰り返し、独自の配合にたどり着いた。

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IMEが実施した屋外曝露試験では、光の強度や風向きが常に変化する状態で平均20~30%、無風状態では最大70%、NOxが減少したという。また、AirCleanが実際に敷設されたエアフルト市のゴータ広場(Gothaer Platz)では、地上から3メートルの位置での測定で二酸化窒素(NO2)は平均20%、一酸化窒素(NO)は38%減少していることが確認できたうえ、敷設から14~23カ月後でもNOx分解性能の劣化はまったく起きていなかったという。

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