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2010/8/11

経済産業情報

中国企業のドイツ進出進む

この記事の要約

ドイツ企業を買収する中国企業が増えてきた。主なターゲットは自動車・機械・環境関連企業。中国当局による煩雑で厳しい審査がネックとなり、買収を果たした中国企業はまだ少ないものの、急成長による豊富な資金力を背景に高い技術力を持 […]

ドイツ企業を買収する中国企業が増えてきた。主なターゲットは自動車・機械・環境関連企業。中国当局による煩雑で厳しい審査がネックとなり、買収を果たした中国企業はまだ少ないものの、急成長による豊富な資金力を背景に高い技術力を持つ独企業を傘下に収める中国企業は今後、増えていく見通しだ。『フランクフルター・アルゲマイネ』紙が報じた。

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中国企業が外国企業の株式取得や資本参加を行う場合、中国の国家外為管理局(SAFE)や国家発展改革委員会(NDRC)、商務部(MOFCOM)の審査が必要になるなど、手続きが煩雑だ。また、政府当局による横槍や干渉も少なくない。四川騰中重工機械(Theng Heavy Engineeringは09年、米ゼネラルモーターズ傘下のハマー買収で合意したが、中国政府は「我が国の低燃費車推進政策にそぐわない」として買収を阻止したいきさつがある。

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デュッセルドルフの弁護士事務所に勤める中国人弁護士は「長々とした手続きに煩わされるうえ、常にお役所におうかがいを立てなくてはならず、特に中堅企業による買収の大きな障壁となる」との見方を示した。中国企業による独企業の買収で比較的規模が大きい案件は機械メーカーWaldrich Coburg(コーブルク)、工作機械メーカーSchiess(アシャースレーベン)、風力発電装置メーカーVensys Energy(ノインキルヘン)など、これまでのところ少数にとどまっている。

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「中国人は技術をコピーすることにしか関心がない」というのはステレオタイプ的な見方のようだ。2005年に北京第一机床(Beijing No.1 Machine Tool)に買収されたWaldrichのヘルベルト・べッカー社長は「会社は本当に元気を取り戻した」と話す。売上高は買収時の3倍の1億7,000万ユーロに、従業員数は1.5倍の750人に拡大した。また、日常の業務には介入されないうえ、中国企業の傘下に入ったおかげで中国市場に販売の足がかりができるなど、メリットは大きいという。ベッカー社長は製品が親会社にコピーされたことは「一度もない」と断言した。

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