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2010/8/11

企業情報

Commerzbank AG―4-6月期も黒字に―

この記事の要約

独2位銀行のCommerzbank(フランクフルト)が5日発表した2010年4-6月期(第2四半期)決算の最終損益は3億5,200万ユーロの黒字となり、前年同期の赤字(7億6,100万ユーロ)から大幅に改善した。利益計上 […]

独2位銀行のCommerzbank(フランクフルト)が5日発表した2010年4-6月期(第2四半期)決算の最終損益は3億5,200万ユーロの黒字となり、前年同期の赤字(7億6,100万ユーロ)から大幅に改善した。利益計上は2四半期連続で、1-6月期(上半期)の最終利益は10億6,000万ユーロに達した。ブレシング頭取は記者会見で、市場が安定的に推移すれば2010年通期でも最終黒字を確保できるとの見通しを示した。

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第2四半期の黒字転換に大きく貢献した要因は貸倒引当金の減少と市場での自己勘定取引、税還付の3つだ。貸倒引当金は景気回復を背景に前年同期の9億9,300万ユーロから6億3,900万ユーロに縮小した。

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株式や債券の自己勘定取引に伴う利益は前年同期の7,100万ユーロから3億3,700万ユーロに拡大した。ただ、ユーロ加盟国の財政危機問題の影響で前期の8億5,000万ユーロからは大きく後退している。

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税還付は1億5,100万ユーロに上り、この効果で最終利益は税引き前利益(2億1,000万ユーロ)を大きく上回った。

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部門別では中小企業向け融資が好調で、同部門の営業利益は前年同期(1億2,500万ユーロ)の3倍強の3億8,300万ユーロに拡大した。中東欧事業も営業黒字800万ユーロを計上し、前年同期の赤字(8,700万ユーロ)から好転している。一方、不動産金融子会社Eurohypoなどを統括する資産担保融資(ABF)事業では営業赤字が1億3,500万ユーロから2億5,000万ユーロへと膨らんだ。

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財政が悪化したユーロ加盟国の公債の保有残高は6月末時点で約170億ユーロに上った。内訳はイタリアが99億ユーロで最も大きく、これにスペイン(33億ユーロ)、ギリシャ(28億ユーロ)が続いた。ポルトガルとアイルランドの公債はそれぞれ10億ユーロ、1億ユーロにとどまる。

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Commerzbankは同業Dresdner Bankの買収と金融危機の影響で財務力が低下し、政府傘下の金融市場安定化基金(Soffin)から総額182億ユーロの資本注入を受けた。この件でブリューデルレ連邦経済相は最近、公的資金を2013年までに完済することを要求、同行に圧力をかけた。これに対しエリック・シュトルッツ財務担当取締役は決算発表で、返済を遅くとも2012年までに開始するとの立場を表明。13年までに完済するかどうかの明言を避けた。

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Commerzbankが匿名出資(stille Einlage)の形で国から供給を受けた資金164億ユーロには年9%の高い金利がついており、財務の負担となっている。ただ、公的資金を返済すると自己資本比率が低下するため、経営陣は慎重な姿勢を崩せないようだ。6月末時点の中核自己資本比率(Tier1)は10.8%で、公的資金注入前の08年12月を3.7ポイント上回っている。

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