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2013/10/23

総合 - ドイツ経済ニュース

内需主導で景気回復進む=共同予測

この記事の要約

Ifoなど有力経済研究所は17日に公表した共同作成の秋季経済予測で、ドイツ経済の回復が内需主導で進むとの見方を示した。これまでは景気が低迷していたものの、現在はすでに拡大局面に入っており、この傾向が来年も続くとみている。 […]

Ifoなど有力経済研究所は17日に公表した共同作成の秋季経済予測で、ドイツ経済の回復が内需主導で進むとの見方を示した。これまでは景気が低迷していたものの、現在はすでに拡大局面に入っており、この傾向が来年も続くとみている。次期政権を担う見通しの社会民主党(SPD)が主張する増税と最低賃金の導入に対しては、経済と雇用に悪影響をもたらすと批判した。

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ドイツ経済は昨年第2四半期から今年第1四半期にかけて低成長ないしマイナス成長が続いている。冬の寒波といった一時的な要因も作用しているものの、世界経済の減速とユーロ経済不振の影響が大きい。輸出が伸び悩んだほか、国内企業も景気の先行き不透明感を理由に投資を見合わせおり、国内機械生産高は今年4年ぶりに減少する見通しだ。

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だが、世界経済はここにきて回復傾向が鮮明になり、ユーロ経済も最悪期を脱していることから、秋季予測は世界全体の国内総生産(GDP)が今年2.1%、来年も2.8%拡大するとしている。

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これを受けて低調だったドイツの企業投資が復活。設備投資は上半期が不調だった影響で今年は前年を2.2%下回るものの、来年は7.0%増と大きく回復する。雇用の安定と実質賃金の上昇を背景に個人消費は引き続き増加するため、景気拡大は内需主導で進む。

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輸出は今年が0.5%、来年も5.0%増加する。ただ、輸入の伸び率を両年とも下回るため、外需(純輸出)はGDPの足かせ要因となる見通しだ。インフレ率は安定的に推移する。

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景気のリスク要因としてはユーロ危機の再燃を挙げた。欧州連合(EU)が講じてきた危機対策は成果を上げているものの、恒久的な解決策ではないため、EUの政治が麻痺したり債務危機国が財政再建の手綱を緩めるとリスクが大きくなると注意を促している。

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ドイツの財政収支は2012年に12年ぶりに黒字となった。黒字は今後も続く見通しで、共同予測によると、税制を改革せず歳出の拡大も小幅にとどまった場合、財政黒字の対GDP比率は2018年に1.5%へと達する。景気要因を除いた実質ベースでも同1%(額にして330億ユーロ弱)を確保できる。

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同予測はこれを踏まえ、インフラや教育分野で経費を拡大する余地は十分にあり増税は不要だと指摘。歳出をさらに拡大するのであれば、補助金の減額など歳出削減を通して進めるよう提言している。

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SPDは連邦議会(下院)選挙戦で、時給8.5ユーロの最低賃金を全国一律で導入することを公約に掲げた。これに対し同予測は、独東部の被用者の4人に1人は時給が同水準を下回っていると指摘。8.5ユーロの最低賃金を全国一律で義務化すると大規模な雇用削減を引き起こすと警鐘を鳴らした。

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