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2014/9/10

ゲシェフトフューラーの豆知識

「女性には見えませんね」は差別発言か

この記事の要約

人材募集の応募者が性別や年齢、人種などを理由に採用されなかった場合、一般平等待遇法(AGG)15条に基づき慰謝料や損害賠償の支払いを請求できる。では、面接試験で「女性には見えませんね」と面接官に言われた人は、採用されなか […]

人材募集の応募者が性別や年齢、人種などを理由に採用されなかった場合、一般平等待遇法(AGG)15条に基づき慰謝料や損害賠償の支払いを請求できる。では、面接試験で「女性には見えませんね」と面接官に言われた人は、採用されなかった場合、これを根拠に慰謝料などを請求できるのだろうか。この問題をめぐる係争でマインツ州労働裁判所が4月に判決(訴訟番号:7 Sa 501/13)を下したので、ここで取り上げてみる。

裁判は被告企業の人材募集に応募した女性が同社を相手取って起こしたもの。原告は2012年9月7日、被告企業に面接に行ったところ、面接担当者から冗談で「女性には見えませんね」と言われた。性転換手術を受けた関係で男性のような外観をしていたためだが、性転換者であることは、裁判が始まるまで伏せていた。

被告企業が別の応募者を採用したところ、原告はAGGで禁じられた性差別を受けたとして提訴。AGG15条に基づく慰謝料請求訴訟を起こした。

1審のマインツ労働裁判所は原告の訴えを棄却。2審のマインツ州労裁も1審判決を支持した。判決理由で裁判官は、被告企業は不採用を通知した時点で原告が性転換者であることを知らなかったと指摘。原告は性転換を理由に採用されなかったのではないとの判断を示した。