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2014/10/1

ゲシェフトフューラーの豆知識

勤続年数に応じた解雇予告期間ルールで最高裁判決

この記事の要約

民法典(BGB)622条には雇用契約解除の予告期間が定められている。それによると、契約解除日は月末か15日のどちらかとなり、いずれの場合もその4週間前までに通告しなければならない(同条1項)。 ただ、雇用主の側から解約す […]

民法典(BGB)622条には雇用契約解除の予告期間が定められている。それによると、契約解除日は月末か15日のどちらかとなり、いずれの場合もその4週間前までに通告しなければならない(同条1項)。

ただ、雇用主の側から解約する場合(解雇)は勤続年数が長いほど、予告期間が長くなり、勤続2年以上で1カ月、同5年以降で2カ月、8年以上で3カ月、10年以上で4カ月、12年以上で5カ月、15年以上で6カ月、20年以上で7カ月に達する(同2項)。勤続2年以上の場合、契約解除日はすべて月末となる。

ところで、勤続年数が長いほど解雇予告期間が長くなるルールは欧州連合(EU)の「雇用および職業における均等待遇のための一般的枠組み設定指令」(2000/78/EC)などで禁じられた間接差別に当たらないのだろうか。この問題を巡る係争で、最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が9月18日に判決(6 AZR 636/13)を下したので、ここで取り上げてみる。

裁判はゴルフ場経営会社を相手取って臨時雇いの従業員(1983年生まれ)が起こしたもの。同社は原告を2008年7月に採用したものの、11年12月20日付の文書で、翌年1月31日付の解雇を通告した。原告は勤続期間が3年7カ月であるため、BGB622条の解雇予告期間は1カ月であり、解雇通告は同規定に沿ったものだった。

被告企業は従業員数が10人未満であるため、解雇保護法の適用対象となっておらず、原告は解雇そのものには異議をはさまなかった。だが、勤続期間が長いほど解雇予告期間が長くなるBGB622条の規定については、一見中立的なルールにみえるものの実際は高齢労働者を優遇し若い被用者には不利に働くものだとして、EU指令2000/78/ECに反すると批判。勤続年数の長さに関係なくすべての被用者に7カ月の解雇予告期間が与えられなければならないとして提訴した。

原告は1、2審で敗訴し、最終審のBAGも下級審判決を支持した。判決理由で裁判官は、勤続年数が長いほど解雇予告期間を長くするのは、再就職が若年者に比べて難しい高齢労働者を保護するためだと指摘。BGB622条の規定は間接的な年齢差別に当たらないとの判断を示した。