欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/4/14

総合 – 欧州経済ニュース

オーストリアの極右政治家、欧州議会選の出馬撤回

この記事の要約

オーストリアの極右政党・自由党に所属する欧州議会の現職議員であるアンドレアス・モルツァー氏は8日、5月の欧州議会選への出馬を取りやめたと発表した。同氏は自由党の有力候補で、再選が確実視されていた。しかし、人種差別発言など […]

オーストリアの極右政党・自由党に所属する欧州議会の現職議員であるアンドレアス・モルツァー氏は8日、5月の欧州議会選への出馬を取りやめたと発表した。同氏は自由党の有力候補で、再選が確実視されていた。しかし、人種差別発言などが波紋を広げ、世論の反発が高まったため、出馬撤回を迫られた。

強硬な移民排斥、反EU論者として知られるモルツァー氏は2月、北アフリカなどからの欧州への移民が増えていることについて、「欧州が黒人の集合体になってしまう」と批判。さらに、EUの規制体質を批判した際に、「第三帝国のほうがリベラルだ」とネオナチ的な発言も飛び出した。後に発言を撤回し、謝罪したが、メディアや世論の大きな反発を浴びていた。

オーストリア、フランス、オランダなど一部のEU加盟国では、経済の不調を受けて中道政党が求心力を失い、5月25日に実施される欧州議会選では極右政党の躍進が予想されている。オーストリアでは自由党が支持率で与党の社民党、国民党を抑えてトップに立っている。

自由党は支持基盤を拡大するため、このところ親ナチ、人種差別的な色彩を薄めつつあり、欧州議会選では追い風に乗って大躍進を狙っている。それだけに、幅広い支持を失いかねないモルツァー氏の発言は大きな痛手で、シュトラーヒェ党首が出馬取り下げを迫っていた。

モルツァー氏は出馬断念について「外部の圧力に屈したわけではなく、党の信任を失ったため」とコメントしている。