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2013/1/9

経済産業情報

コジェネのネットワーク化でエネルギー利用最適化

この記事の要約

独東部のハレ市が効率の高い熱電エネルギー供給システムの構築に向けて、地域の熱電併給(コジェネ)発電所と家庭・建物単位の小型コジェネ装置とのネットワーク化に取り組んでいる。同市のエネルギー供給会社EVHが進めるプロジェクト […]

独東部のハレ市が効率の高い熱電エネルギー供給システムの構築に向けて、地域の熱電併給(コジェネ)発電所と家庭・建物単位の小型コジェネ装置とのネットワーク化に取り組んでいる。同市のエネルギー供給会社EVHが進めるプロジェクトで、市内2カ所にあるガス・コジェネ発電所から電力と温熱を供給するとともに、地域熱供給網に接続していない世帯には小型コジェネを設置。これらを相互に結んでネットワーク単位で制御することでエネルギーの需給バランスを最適化する。4日付『フランクフルター・アルゲマイネ』が報じた。

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ハレ市を含む旧東ドイツ地域の大都市では、発電の排熱(当時は主に石炭火力発電所)を温熱管を通して家庭に送り暖房・温水用に活用することが広く行われており、熱電併給システムにはなじみが深い。EVHのガス・コジェネ発電所の発電能力は計96メガワット(MW)、熱供給能力は計100メガワットで、エネルギー効率は85~90%と非常に高い。温熱需要が低い時間帯には排熱を7,000立方メートルの温水タンクに蓄熱するが、年間を通した需要の変動に対応しきれないこともあるため、EVHは5万立方メートルの新たな蓄熱タンク設置を計画中だ。

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地域熱供給網が利用できない地域では、小型コジェネの設置を奨励している。装置はフォルクスワーゲン(VW)社が開発したもので、エネルギー効率は約90%。ただ、年間熱需要が4万キロワット時を超えることが条件のため、設置できるのは集合住宅や学校、教会などある程度の規模大きい建物に限られる。設備はEVHとネットワークでつながっており、コジェネからの電力供給(一般電力網への売電)が過剰となりネットワークに負荷がかかった場合は出力を制御できるという。

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ハレ市のプロジェクトに参加し小型コジェネを設置した建物はこれまでのところ600軒。EVHは長期目標として10万軒を掲げる。これが達成されると原発2基分に相当するエネルギーが賄える計算だ。

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EVHの関係者は、分散電源をネットワーク化することによって、◇大型発電所の建設が不要になる◇電力供給網のトラブルによる停電にも対応できる◇使うその場で発電し排熱を活用することでエネルギーのロスが大幅に減る――などのメリットがあると強調、プロジェクトの将来性に自信をみせる。

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