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2013/1/9

経済産業情報

スキミング被害のATMが2年連続で減少、EMVチップの普及効果で

この記事の要約

2012年にスキマー(磁気情報読み取り装置)を取り付けられるなどのスキミング被害に遭ったドイツ国内の現金自動預け払い機(ATM。キャッシュディスペンサーを含む)は前年比33%減の計521台となり、2年連続で減少した(10 […]

2012年にスキマー(磁気情報読み取り装置)を取り付けられるなどのスキミング被害に遭ったドイツ国内の現金自動預け払い機(ATM。キャッシュディスペンサーを含む)は前年比33%減の計521台となり、2年連続で減少した(10年=1,765件、11年=780件)。防犯対策の強化が奏功した格好。スキミングで実際に預金を引き下ろされた件数は前年の2万1,000件から2万3,000件に増えたものの、被害総額は横ばいの約3,000万ユーロにとどまり、1件当たりの被害額は約1,400ユーロに減少した。カード決済サービス会社Euro Kartensystemeのデータをもとに5日付『ヴェルト』紙が報じた。

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スキミングはATMなどに小型カメラやダミーキーボードを取り付け、暗証番号やカードの磁気ストライプの情報を盗み取る犯罪。こうして得た情報を元にカードを偽造し国外で現金を引き出す。スキミング犯罪集団の大半は南東欧諸国、特にルーマニア、ブルガリア出身者で構成されている。

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スキミング犯罪が減少した最大の理由はEMVチップ搭載のデビットカードが欧州全域で普及したことだ。これにより、欧州では磁気ストライプの情報だけでは現金を引き下ろしたり小売店で買い物をしたりできなくなった。

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ただ、欧州域外ではEMVチップ搭載のデビットカードが普及していない国も多く、そうした国では偽造カードを利用してドイツの銀行口座から現金が依然として違法に引き下ろされている。国別でみると12年は米国が最も多く、全体の26%を占めた。これにメキシコ(15%)、コロンビア(13%)、タイ(10%)、ブラジル(8%)、ドミニカ共和国(6%)、ペルー(4%)、日本(3%)、アルゼンチン(2%)、エクアドル(2%)が続く。このうちペルーでは昨年秋にEMVチップが導入されたため、今後は減少が予想される。米国でも今年4月から導入が開始される。

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大都市の銀行支店で防犯対策が強化されたこともスキマーが仕かけられるATMの減少につながった。ただ、犯罪グループは対策が遅れている小都市や地方の銀行支店に照準を据えるようになっているという。

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Euro Kartensystemeによると、スキミングの被害額は今後、減少する見通しだ。特定国での現金引き下ろしをブロックする「ジオブロッキング」を採用する銀行が増えているためで、1件当たりの被害額は今年1,000ユーロ未満まで低下するという。

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