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2013/7/24

ゲシェフトフューラーの豆知識

解雇訴訟を起こさなければ損賠請求権なし

この記事の要約

被用者が解雇取り消し訴訟を起こす場合、解雇通知書が送達されてから3週間以内に提訴しなければならない。これは解雇保護法(KSchG)4条1項に記されたルールであり、期限内に裁判を起こさなければ解雇は法的に有効となる。では、 […]

被用者が解雇取り消し訴訟を起こす場合、解雇通知書が送達されてから3週間以内に提訴しなければならない。これは解雇保護法(KSchG)4条1項に記されたルールであり、期限内に裁判を起こさなければ解雇は法的に有効となる。では、期限内に提訴しなかった被用者が元の雇用主を相手取って損害賠償を請求することはできるのだろうか。この問題をめぐる係争で、ラインラント・ファルツ州労働裁判所が5月に判決を下したので、ここで取り上げてみる。

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裁判を起こしたのは老人ホームの管理責任者として2011年9月1日付で採用された元被用者。労働契約書には試用期間を6カ月とし、試用期間中は理由を提示せずに14日の予告期間を設けたうえで労使双方が契約を解除できると記されていた。

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被告の元雇用主は12年2月9日付の文書で、原告との雇用関係を同月末付で解除することを通告した。

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原告はこれに対しKSchG4条1項に基づく解雇取り消し訴訟を起こさず、提訴期限が過ぎた後に、解雇により収入が減少したなどとして損害賠償請求訴訟を起こした。原告は新たな職場を確保したため、解雇取り消し訴訟を見合わせたもようだ。

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1審のルートヴィヒスハーフェン労働裁判所は原告の訴えを棄却。2審のラインラント・ファルツ州労裁も1審判決を支持した。判決理由で裁判官は、原告が解雇無効の確認を求める裁判を期限内に起こさなかったことで解雇は法的に有効になったと指摘。解雇が有効な場合は解雇を行った者に損害賠償義務が発生しないとの判断を示した。最高裁への上告は認めなかった。

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