事業の権利の取得者が同事業の以前の経営者から従業員を引き取らないと主張することがある。この場合、割りを食った従業員は以前の経営者との間に雇用関係が依然として存在することの確認を求めて提訴できるが、事情によっては以前の経営者との雇用関係が失われていることもある。そんな判断を最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が17日の判決(訴訟番号:8 AZR 974/12)で下したので、ここで取り上げてみる。
\裁判は勤務先であった社員食堂の受託運営権を1996年に取得したケータリング会社(A社)を相手取って同食堂の従業員が起こしたもの。A社と原告の間には同年以降、雇用関係があった。
\同社員食堂の受託運営権は2010年12月末付で別の会社(B社)に移った。A社はこれを受け原告に対し、原告はB社に移籍すると伝えたが、B社は同従業員を引き取らないと主張したため、原告はまずB社を提訴。B社との間に雇用関係があることを確認しようとした。
\原告とB社はその後、和解し、原告はB社に移籍しておらず両者間に雇用関係はないことを確認。また、B社は原告に4万5,000ユーロを支払うことを取り決めた。
\原告はこれを受けて、A社との雇用関係は終了していないと主張し、その確認を求めて提訴した。1審は原告勝訴を言い渡したものの、2審は原告の訴えを棄却。最終審のBAGも2審判決を支持した。判決理由で裁判官は、原告はB社との間に雇用関係があると訴えた後にB社と和解を結んだことでA社との雇用関係が続いていると主張する権利を喪失したとの判断を示した。
\