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2013/10/30

総合 - ドイツ経済ニュース

企業投資に活発化の兆し、ユーロ経済底打ちで慎重姿勢緩む

この記事の要約

ドイツ経済の明るさが増してきた。独商工会議所連合会(DIHK)がこのほど発表した会員企業アンケート調査報告によると、これまで低調だった企業投資は今後、拡大へと転じる可能性が高い。ユーロ経済が底を打つなど投資環境が整ってき […]

ドイツ経済の明るさが増してきた。独商工会議所連合会(DIHK)がこのほど発表した会員企業アンケート調査報告によると、これまで低調だった企業投資は今後、拡大へと転じる可能性が高い。ユーロ経済が底を打つなど投資環境が整ってきたことが大きく、雇用も足踏み状態を脱し、再び増加する見通しだ。

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DIHKは毎年3回、会員企業を対象に大規模な景気アンケート調査を行っており、今回は8月末から10月初旬にかけて実施。約2万8,000社から回答を得た。業種別の内訳は製造が29%、建設が7%、流通が23%、サービスが41%。

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事業の現状を「良い」とする回答は前回調査(初夏)の32%から38%に増加した。「悪い」は同15%から11%に減少しており、良いと悪いの差は17ポイントから27ポイントへと大きく拡大。2011年初夏以降で初めて拡大へと転じた。現状判断が特に良好なのは建設で、良いが悪いを43ポイント上回った。サービスは同30ポイント、製造は23ポイントだった。

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今後1年間の事業見通しに関しては良いが24%、悪いが13%で、その差は前回の9ポイントから11ポイントに拡大した。欧州債務危機がひとまず沈静化し、欧州域外の経済も再び加速してきたことが背景にある。ただ、ユーロ危機の再燃懸念などリスク要因もあるため、良いと悪いの差は現状判断に比べて小さい。

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メーカーを対象に今後1年間の輸出見通しを訪ねた質問では「増える」との回答が32%に上った。「減る」(9%)との差は前回の17ポイントから23ポイントに拡大し、11年初夏以来の高水準に達している。特にユーロ圏向けの輸出が拡大すると予想する企業が多いようだ。

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企業の多くはこれまで、ユーロ危機と新興国の経済減速を受けて投資を控えてきたが、最近はユーロ経済がプラス成長に転じるなど好材料が増えている。これを受けて投資拡大を検討する企業は前回調査の23%から25%に増加。投資縮小は同20%から17%へと減少し、その差は3ポイントから8ポイントへと拡大した。業界別でみると、サービス業と製造業では拡大が縮小をそれぞれ9ポイント、8ポイント上回った。流通は同4ポイント。建設は拡大が縮小を3ポイント下回ったものの、マイナス幅は12年秋の9ポイントから4調査連続で縮んでいる。

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雇用拡大を計画する企業は前回の15%から16%に増えた。雇用縮小は同14%から12%に減少しており、拡大と縮小の差は1ポイントから4ポイントに拡大した。差が拡大するのは12年初夏以来。専門人材の不足を事業のマイナス要因と回答する企業の割合は3分の1を超え、過去最高を記録した。特に研究開発、IT分野で人手不足が深刻化している。

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