年齢の高い社員の勤務条件を優遇することは一般平等待遇法(AGG)で禁じられた不当な差別に当たり無効だ――。最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が5月に下した判決(訴訟番号:1 AZR 44/12)でこんな判断を下したので、ここで取り上げてみる。
\裁判はルフトハンザ航空を相手取って客室乗務員が起こしたもの。同社は2009年6月、客室乗務員の勤務条件に関する協定を従業員代表と結んだ。そのなかに、◇これまでもっぱら長距離のフライト勤務を行ってきて年齢が43歳以上◇勤続期間が15年以上――の2条件を満たした客室乗務員について、長距離フライト勤務を1四半期当たり最大で計5日に制限するとの規定があった。原告はこれが若い客室乗務員に対する差別に当たるとして提訴。年長の客室乗務員と同じ勤務条件を若い客室乗務員にも認めるよう訴えた。
\原告は1、2審で敗訴。最終審のBAGも下級審判決を支持した。判決理由で裁判官は、問題となった協定の当該条項は年齢差別に当たり違法だと認定したものの、年長の客室乗務員と同じ勤務条件を若い客室乗務員にも認めると同社の業務が麻痺すると指摘。原告には年長の客室乗務員と同じ待遇を請求する権利はないとの判断を示した。
\そのうえで、ルフトハンザが同条項を今後、廃止しない場合は、勤務を拒否できると言い渡した。
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