育休延長申請、雇用主の判断基準を最高裁が提示
被用者が育児休暇期間を延長する場合は雇用主の承認を得なければならない。これは育児休暇法16条3項に定められた規則である。では、雇用主にはいかなる場合でも申請を拒否する権利があるのだろうか。この問題について最高裁の連邦労働 […]
被用者が育児休暇期間を延長する場合は雇用主の承認を得なければならない。これは育児休暇法16条3項に定められた規則である。では、雇用主にはいかなる場合でも申請を拒否する権利があるのだろうか。この問題について最高裁の連邦労働 […]
ドイツの第9社会法典(SGBⅨ)には障害者の処遇や保護に関するルールがまとめられている。その81条1項のなかにこんな規定がある。「雇用主には空席となったポストに障害者、特に労働局に失業者ないし求人者として登録している障害
オフィスのカギなどを従業員に貸与することは多くの会社で行われている。そうしないと、従業員の出社前に社長が毎日カギを開け、夕方も最後の社員が退社するまで事務所に残っていなければならなくなるためだ(近代的な入退室管理システム
銀行では業績に連動したボーナスが行員に支給される。その額は年によって変動が大きく、ボーナスが少ないときは行員の財布の紐が自然と引き締まるようである。金融都市フランクフルトの寿司屋で聞いた話によると、それまでアラカルト注文
事業所委員などが従業員と面接する際、その内容をテープなどに記録しておくと後で文書にまとめやすいだろう。その場合、録音することをあらかじめ伝え、了承を得ていないと、解雇される恐れがある。ここではケルン州労働裁判所が5月に下
会社の経営をしていると、社員から「いついつまでにどうしてもいくら必要だから借金させてくれ」と頼まれることがときにあるかもしれない。そうした場合、事情を聴いたうえで、「分かった。では金を貸そう」という風になることもあるだろ
事業を廃止する場合は経営上の理由による整理解雇を実施できるのに対し、事業譲渡の場合は整理解雇できない。ただ、事業譲渡か事業廃止かが区別しにくいケースがある。これについては2011年6月1日号で一度、取り上げた。ここでは両
事業所委員会(Betriebsrat)は被用者の利害を代表する社内機関である。このため、被用者の権利が侵害されているような場合、その是正に向けた活動を行う。その際、会社内部の問題を外部に公表する形で批判することは果して許
雇用関係の終了に伴い消化できなかった有給休暇は金銭に換算して被用者に支給される。これは有給休暇法(BUrlG)7条4項に明記された決まりである。では、被用者が死亡したために消化できなかった場合、有給休暇はどう取り扱われる
ドイツでは育児休暇手当てが2007年1月に導入された。育児休暇を取得したパートナー(結婚していれば配偶者)に最大12か月間、国が手取り収入の67%(上限額:月1,800ユーロ)を支給するという制度で、両親が2人とも育児休
パイロットの定年退職年齢を60歳としたルフトハンザドイツ航空の労使協定に対し、欧州連合(EU)・欧州司法裁判所(ECJ)の法務官は先ごろ、EU法違反との見解を表明した。これについては5月25日号の本コラムですでに紹介した
インターネットの私的な利用を禁止している職場は多く、そうした職場でこの決まりを破れば処分されても仕方がない。では実際に違反があった場合はどの程度の処分が妥当なのだろうか。ここではニーダーザクセン州行政裁判所が14日に下し
解雇された被用者がそれまで控えてきた権利の請求を徹底的に行うというのは起こりやすいことだ。「これまで懸命に働いてきたのに解雇するとは何事だ」といった怒りと「もはや失うものは何もない」という開き直りの心情が湧いてくるからで
社員を解雇する権限を雇用主が特定の社員に委任することがある。多くの支社を抱えている場合や、単にそうした業務を経営者が煩わしく感じているなどのケースがあるが、被委任者を通した解雇には注意すべき点がある。ここでは最高裁の連邦
「あいつは仕事ができない」と上司や同僚が思う社員はどの会社にも大抵はいるだろう。だが、能力の低さを理由に解雇するとなると、客観的な根拠が必要になる。ここではミュンヘン州労働裁判所が3月に下した判決(訴訟番号: 3 Sa
遅刻した社員の多くはできればタイムカードに虚偽の時間を記入したいと思うだろう。またフレックスタイムの企業に勤めていれば、実際に勤務したよりも長く働いたことにしたいという誘惑に駆られるのではなかろうか。だが、実際にそうした
ドイツの学校では夏に外気温が高くなると授業がなくなり、生徒は下校できる。この決まりをHitzefrei(ヒッツェフライ)という。大抵のドイツ人にとっては子供のころの良き思い出となっており、企業内では猛暑が到来するたびに「
雇用主がクリスマス手当を支給しなければならないのは雇用者団体と組合が結んだ労使協定(Tarifvertrag)、ないし雇用主が事業所委員会と結んだ社内協定(Betriebsvereinbarung)もしくは労働契約に取り
各年度の有給休暇は原則として年度末までに消化し、特別な事情がある場合も翌年3月末までに消化しなければならない。これは有給休暇法(BUrlG)7条に明記された決まりである。ただし、長期病欠で過年度の有給休暇を取得できなかっ
病気で欠勤する場合、始業時間前に勤務先に連絡を入れるのは言うまでもなく常識である。勤務時間になっても出勤していなければ同僚が心配するだろうし、そもそも業務に支障が出る。だから、病欠連絡の遅れは警告処分の対象となる。では相
障害者の解雇のハードルは健常者よりも高い。障害者は不当な差別に遭いやすいためで、第9社会法典(SGB Ⅸ)85条には障害者を解雇する際は障害者社会統合局(Integrationsamt)の承認を得なければならないと明記さ
HIV(エイズウイルス)に感染した従業員を解雇することは通常、道義的、法的に許されない。日本でも感染を理由とする解雇を無効とする判決がすでに出ている。だが、試用期間中の社員に限るとドイツでは解雇しても法的に問題がないよう
ナチスの用語を用いることはドイツではいかなる場面でも避けた方が良い。たとえば「ハイル・ヒトラー」と冗談のつもりで言っても、聞き手はそうは受け取らず、不快感を示すことも多いためだ。仕事の場でそうした言葉づかいをした場合は処
従業員の社内代表機関である事業所委員会(Betriebsrat)は定期的に従業員集会(Betriebsversammlung)を開催しなければならない。これは事業所体制法(BetrVG)43条に明記されたルールである。で
通勤途中の交通事故は労災保険の対象となる。だが、飲酒運手の場合は事情が異なるので注意が必要である。ここではヘッセン州社会裁判所が5月に下した判決(訴訟番号: L 9 U 154/09)に即してこの問題をお伝えする。 \
内部告発は告発された企業や組織の大きなイメージダウンにつながりかねない。このため、そうした動きを封じ込めたいと思うのはある意味、自然なことかもしれないが、告発者を解雇することは人権侵害に当たる。欧州人権裁判所(ECHR)
少額の横領を行った被用者を解雇することは難しい。これについては最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が昨年の判決で基準を示したように、処分歴のない者に対して下せる処分は警告にとどまる(本誌2010年6月16日号を参照)。 \
職場や上司、同僚に暴言を吐けば警告・解雇などの処分を受ける。これについては7月6日号のコラム「責任能力なくても即時解雇可」でお伝えした。しかし、小説を書いて上司や同僚を想起させるような人物を侮蔑的に描写した場合は事情が異
アルコール依存症の被用者に改善の見通しが立たない場合、雇用主は解雇を通告できる。しかし改善の見通しが立たないとは具体的にどういうケースが該当するのだろうか。ここではラインラント・ファルツ州労働裁判所が2月に下した判決(訴
社員募集に応募した場合、自分をできるだけ高く評価してもらいたいと思うのは自然な感情だろう。ただ、だからと言ってあからさまな嘘を言われたのでは採用する側としては困ってしまう。大型トラックの運転ができると言って採用したのに、
責任無能力のない心神喪失者は刑事責任を問われない。自分の行為に責任を持てないため責任を問いようがないわけである。では、職場にそうした人物がおり、問題行動や発言を行った場合、同僚や上司はただ耐え忍ぶしかすべがないのだろうか
事業所委員(Betriebsrat)に選ばれた社員は勤務時間中に事業所委員会の業務を行うことができる。事業所委員会は労働組合と異なりあくまでも会社の一機関だからである。ただし、事業所委の業務を行うために所属する勤務部署を
5年前の2006年8月に一般平等待遇法(AGG)が施行され、アパート賃貸や雇用などの経済活動で性別や年齢、人種、宗教、出自などを理由に差別することが明確に禁止された。この種の新しい法律が成立すると、そこに盛り込まれた権利
ドイツ人は一般的に残業を嫌う。そうしたなかで労働契約に定められた所定労働時間の延長を要求する社員がいるというのは変に感じられるかもしれないが、なかにはそうした要求する被用者もいる。ここでは最高裁の連邦労働裁判所(BAG)
雇用主は従業員の利害を代表する事業所委員会(Betriebsrat)の活動(会議、従業員の相談業務など)に必要な空間を会社の経費で提供しなければならない。これは事業所体制法(BetrVG)40条2項に明記された義務である
育児休暇手当の支給制度が2007年1月からスタートしたことを受け、育休の取得者が増加した。しかし、新しい制度が始まれば新しい問題が起こるのは世の常である。ここでは育休期間中の有給休暇の取り扱いをめぐる問題を最高裁の連邦労
特定の誰かに対し文書で意思を伝える際は、文書が宛先人の手元に届いた時点で意思表明がなされたとみなされる。これは民法典130条1項に記された決まりで、解雇通知にも適用される。では文書を宛先人の家族が受け取った場合はどのよう
ドイツでは健康上の理由で1日に6時間未満しか働けなくなった人に障害年金が支給される。同年金には労働可能な時間が1日3時間以上6時間未満の人を対象とした「部分的就労能力低下年金(Rente wegen teilweiser
企業が人員削減を行う場合、労使が協議して「社会的計画(Sozialplan)」というリストラ計画を策定する。その際、再就職のチャンスが低い高齢社員の整理一時金を上乗せすることは妥当な措置として一般平等待遇法(AGG)10
被用者は育児休暇期間中、週30時間を上限に勤務することができる。これは育児休暇法(BEEG)15条第4項に明記された権利である。同条第5項には勤務時間や曜日について雇用主に文書で申請し、4週間以内に合意するルールが記され
経営上の理由で整理解雇を実施する際は「社会的選別(Sozialauswahl)」というルールが適用される。これは社会的に弱い立場の従業員などの雇用を優先するというもので、解雇保護法(KSchG)1条3項にはその具体的基準
事業ないし事業の一部を廃止する場合は経営上の理由による整理解雇を実施できる。これは最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が2003年11月に下した判決(訴訟番号:2 AZR 48/03)で判例が定まっている。一方、事業ないし事
被用者を解雇する場合、解雇予告期間(解雇の通告から発効までの期間)中の勤務を雇用主の裁量で免除することがある。その際は解雇予告期間中に解雇される社員の有給休暇をすべて消化するようにする。例えば解雇予告期間の日数が60日で
パイロットの採用年齢を制限したルフトハンザ航空の労使協定が一般平等待遇法(AGG)が禁止する差別に当たることは先週号(2011年5月18日)の当コラムでお伝えした。表題にあるように今週はパイロットの定年年齢をめぐる裁判を
社内で不正が行われている疑いがある場合、事実関係を解明するのは雇用主の責務である。放置すれば甚大な問題に発展する恐れがあるし、従業員の規律にも影響しかねないからだ。だが、疑わしい社員を突き止めるために違法な手段を用いると
特殊な職業訓練を必要とするポストでは採用年齢を制限しても差別に当たらない。これは2006年に施行された一般平等待遇法(AGG)10条第3文3項に明記されたルールである。しかし、年齢制限が許される「特殊な職業訓練を必要とす
業務に社員の自家用車を用いるのはできるだけ避けた方が良いことは以前、このコーナーでお伝えした(2011年3月16日号)。雇用主に賠償責任が発生する恐れがあるためだ。だが、時には社員の車をどうしても利用しなければならないケ
根拠がないにもかかわらず上司を誹謗(ひぼう)中傷した社員を雇用主は即時解雇できる。信頼関係が失われ、雇用関係を継続できないとみなされるためだ。だが、特別な事情がある場合はこの原則が適用されないこともある。ここではこの問題
危険な作業の結果、被用者が健康を害した場合、雇用主には賠償責任が生じる。これについては論を待たないだろう。では、危険な作業に従事した従業員に健康被害が発生していない場合はどうなるのだろうか。ここでは最高裁の連邦労働裁判所
業務命令と信教の自由が正面からぶつかることは日本ではまれである。だが、ドイツには信仰心の篤いキリスト教徒やイスラム教徒が比較的多く、裁判に発展することも珍しくない。ここでは雇用主の指示を無視して通話時に宗教的な表現を使い