2011/3/2

ロシア

ロシアのレアアース開発、今後に期待

この記事の要約

ロシアのレアアース(希土類)埋蔵量は中国に次いで世界第2位の規模を誇るが、生産は少量にとどまっており、国内需要のほとんどを輸入に依存している。しかし、世界生産の97%を占める中国が輸出を制限している影響でレアアース価格が […]

ロシアのレアアース(希土類)埋蔵量は中国に次いで世界第2位の規模を誇るが、生産は少量にとどまっており、国内需要のほとんどを輸入に依存している。しかし、世界生産の97%を占める中国が輸出を制限している影響でレアアース価格が高騰するなか、ロシアは開発を加速させる姿勢を見せている。

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レアアースとは17元素の総称で、電気自動車やノートブック型パソコン、ミサイル誘導システムなどに使用されている。米国議会調査局(CRS)によると、世界のレアアース埋蔵量は推定9,900万トン。このうち中国は36%を占めて1位、ロシアは19%で2位につける。

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ロシアでは16カ所のレアアース鉱床が確認されており、うち75%がムルマンスク地方に集中し、16%がサハ共和国にある。ロシアで採鉱されるレアアース鉱石の82%はアパタイトで、その7割以上がムルマンスク地方のチビンスク鉱床に集中している。ただ、アパタイトのランタン(TR2O3)含有率は0.4%と極めて低く精製コストがかさむため、積極的な開発は行われていない。

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また、サハ共和国のトムトル鉱床はレアアースの含有率が8~12%と良質だが、気象・地理的条件が非常に厳しいことから開発が進んでいない。ただ、連邦鉱物資源庁とサハ共和国は2030年以降に計画していた鉱山開発を早め、2014年にも採鉱事業免許の入札を開始する方向で調整を進めており、同共和国のボリソフ大統領は2月11日、住友商事と三井物産がレアアース開発に向けて現地当局と交渉していることを明らかにした。交渉では、ニオブとスカンジウムの採掘が対象となっているという。

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ロシアは09年に4万9,000トンのレアアースを輸入した。うちセリウムが3万8,500トン、ネオジミウムが5,900トンだった。主な輸入先はオランダ、香港、中国。一方、輸出は54キログラムで、主な仕向け先は米国とドイツだった。(東欧経済ニュース2011年2月16日号「住友と三井、ロシア東部のレアアース開発で交渉」を参照)

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