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2011/7/27

経済産業情報

紙製容器包装業界、2010年売上高3.9%増に

この記事の要約

紙製容器包装(板紙箱)業界が金融・経済危機の痛手から立ち直りつつある。板紙箱産業連合会(FFI)の20日の発表によると、業界の2010年生産量は前年比3.7%増の86万トンに上り、09年(6.7%減の83万トン)から改善 […]

紙製容器包装(板紙箱)業界が金融・経済危機の痛手から立ち直りつつある。板紙箱産業連合会(FFI)の20日の発表によると、業界の2010年生産量は前年比3.7%増の86万トンに上り、09年(6.7%減の83万トン)から改善。売上高は3.9%増の18億2,500万ユーロへと拡大した。(グラフ参照)

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FFI加盟企業(市場シェア:生産量ベース66%、売上高ベース77%)に限ると10年の生産量は1.9%増、売上高は2.5%増にとどまり、増加幅が業界平均を下回った。これについてFFIのルーンケ会長は、不況時に生産能力を縮小した結果、景気回復に伴う注文増に対応しきれなかったためと説明。チリ地震の林業被害でパルプの供給が不足したことや中国の古紙需要の急増も重なり、受注から納品までに2カ月を要する事態も生じたとしている。「サプライチェーン管理を改善する必要性を痛感した」という。

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原料・エネルギー価格の高騰に伴うコストの上昇は板紙業界でも深刻で、欧州最大手のM-Real(フィンランド)はこのほど、8月から欧州市場向け非木材紙・古紙製品を5~8%値上げすると発表した。値上げによる顧客流出の懸念については「最大手の我々が値上げに踏み切れば、競合が追随するのは時間の問題」と楽観している。ただ、値上げによってもコスト上昇分をすべては転嫁できないという。FFIのルーンケ会長も「顧客からの値下げ圧力が強まっている」と指摘する。

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