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2012/7/18

総合 - ドイツ経済ニュース

ESM訴訟の判決は9月に=独憲法裁

この記事の要約

欧州連合(EU)の新たな緊急金融支援の枠組みとなる「欧州安定メカニズム(ESM)」と、加盟国の単年度財政赤字を国内総生産(GDP)比0.5%以内に抑えることを義務づける財政新条約はドイツ議会の予算権を侵害するなどとして野 […]

欧州連合(EU)の新たな緊急金融支援の枠組みとなる「欧州安定メカニズム(ESM)」と、加盟国の単年度財政赤字を国内総生産(GDP)比0.5%以内に抑えることを義務づける財政新条約はドイツ議会の予算権を侵害するなどとして野党・左翼党などが違憲訴訟を起こしている問題で、同国の連邦憲法裁判所は16日、判決を9月12日に下すことを明らかにした。審理が始まった10日の時点では長期化の可能性を示していたが、長期化は債務危機のさらなる深刻化につながる恐れがあるとするショイブレ財務相などの批判を受けて判決日を明確化。金融市場の混乱回避に可能な限り努める姿勢を打ち出した。

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ドイツでは6月末、連邦議会(下院)と連邦参議院(上院)がESM発足と財政新条約を賛成多数で批准した。しかし、左派党などはこれを違法として憲法裁に提訴。ガウク大統領は同裁で合憲判決が出るまで法案への署名を見送る方針を示している。

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同国では現行の危機国支援の枠組みである「欧州金融安定基金(EFSF)」の発足に際しても合憲性が争われたが、憲法裁は合憲の仮決定を下したうえで、本格的な審理を行ったため、発足がずれ込むことはなかった。今回も同様の仮決定を早期に下すと目されていたが、憲法裁のフォスクーレ長官は10日、ESMの仕組みが複雑で「審理を極めて慎重に進めなければならない」として、判決までに相当の時間を要するとの見通しを表明していた。

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INGグループのアナリストはロイター通信に対し、判決が9月に下されるのであれば市場は混乱しないとの見方を示した。

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