病気で会社を休む場合、社員はその旨をまず電話などで伝えたうえで、医師が発行した労働不能証明書(通称ゲルベシャイン)を提出しなければならない。これは「祝日および病欠時の給与支払いに関する法律(EntgFG)」5条1項第1文に定められたルールである。ゲルベシャインの提出期限は病休初日から4日目までだが、雇用主はそれよりも早く提出することを要求できる。この早期提出要求権をめぐる係争でニュルンベルク州労働裁判所が3月に判決(訴訟番号:2 TaBV 60/10)を下したので、ここで取り上げてみる。
\裁判を起こしたのはバイエルン州にある小売店の事業所委員会(従業員の代表機関)。雇用主が社員AとBに対し2007年にそれぞれ1回、社員Cに対し09年に1回、ゲルベシャインを病休1日目に提出するよう命令したことを問題視し、提訴した。同州の小売業界の労使協定には「被用者は病気休業する場合、遅くとも病欠開始から3営業日目までに労働不能証明書を提出しなければならない」との取り決めがあり、雇用主の早期提出要求はこの規定から逸脱していると判断。労使協定から逸脱した要求をするには事業所委の同意を得る必要があるとして、同委の共同決定権(Mitbestimmungsrecht)を要求したのである。
\第1審のヴュルツブルク労働裁判所アシャッフェンブルク支部はこの訴えを棄却。第2審のニュルンベルク州労裁も1審判決を支持した。判決理由で裁判官は、雇用主が計3人の被用者に対して行ったゲルベシャインの早期提出命令は雇用主と各被用者間の個々の問題だと指摘。事業所ないし社員全体の問題ではないため、労使の共同決定権の対象にはならないとの判断を示した。
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