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2012/7/18

経済産業情報

宿泊税、「出張客からの徴収は違法」=最高裁

この記事の要約

トリーア市とビンゲン市がホテルの宿泊客から徴収している文化振興税(宿泊税)をめぐる係争で、連邦行政裁判所(BVerwG、最高裁)は11日、同税は「個人の宿泊客からのみ徴収が認められる」との判断を示した。両市の条例はいずれ […]

トリーア市とビンゲン市がホテルの宿泊客から徴収している文化振興税(宿泊税)をめぐる係争で、連邦行政裁判所(BVerwG、最高裁)は11日、同税は「個人の宿泊客からのみ徴収が認められる」との判断を示した。両市の条例はいずれも個人客と出張客を区別する規定がなく、無効だと言い渡した(訴訟番号:BVerwG 9 CN 1.11と2.11)。独ホテル・飲食業連盟(Dehoga)は同判決を歓迎している。

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BVerwGの裁判官は、宿泊に対して課せられる文化振興税は基本法(憲法)105条第2項aに定める「地方奢侈税」の1つであり、地方自治体が徴収すること自体は違法ではないと前置きしたうえで、奢侈税は「生活するうえで最低限必要な支出の範囲を超えた個人の出費(消費)に対して課せられる」と指摘。観光目的の個人客はこの前提を満たすので課税に問題はないものの、出張客は業務上の必要に迫られて宿泊しており、これは“消費”ではなく“収入を得るための活動”だとして、奢侈税の対象には当たらないと言い渡した。

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今回の判決を受け、宿泊税を導入している他の地方自治体は条例の見直しを余儀なくされそうだ。ダルムシュタット市は2010年末から宿泊税を導入していたが、同判決を踏まえ徴収を中止した。すでに徴収した分については返還請求に応じる。

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