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2012/7/18

経済産業情報

ホスティング業者に再発防止義務、違法コンテンツで最高裁が判決

この記事の要約

オンラインストレージ(ファイルホスティング)サイトを介してコンテンツが違法に共有されたことをめぐる係争で、通常裁判の最高裁である連邦司法裁判所(BGH)は12日、一定の条件下ではホスティング事業者も責任を負うとの判断を示 […]

オンラインストレージ(ファイルホスティング)サイトを介してコンテンツが違法に共有されたことをめぐる係争で、通常裁判の最高裁である連邦司法裁判所(BGH)は12日、一定の条件下ではホスティング事業者も責任を負うとの判断を示した。著作権侵害行為があったことが具体的に分かっていながら類似行為の再発防止対策を怠った場合がそれに当たると指摘、著作権侵害ほう助で処罰の対象になると言い渡した(訴訟番号:I ZR 18/11)。

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同係争は、PCゲームメーカーAtariの欧州法人がファイルホスティング大手のRapidshareを相手取って起こしたもの。Rapidshareのユーザーの1人がAtariのゲームソフト「Alone in the Dark」をアップロードし、誰でもダウンロードできるようにしていたことが発覚したため、著作権が侵害されたとしてデータの提供中止などを求めて提訴した。Rapidshare側はこれに対し「我々はデータ保存・転送の技術的サービスを提供しているに過ぎない。アップロードされたデータの内容について一切関知していない」などと反論していた。

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BGHの裁判官は、オンラインストレージ企業はユーザーがアップロードしたデータの内容を事前に知ることができず、著作権法違反のコンテンツがアップロードされただけでは著作権侵害の責任を問うことはできないと指摘した。そのうえで、違反行為があった場合は、同様の違反行為が今後、繰り返されないよう(技術的に可能かつ経済的に負担にならない範囲で)対策を講じる義務があると明言。RapidshareはAtariの要請を受けて当該ユーザーのデータを削除したものの、同じゲームを別のユーザーがアップロードしていたかのチェックを行っておらず、再発防止策は十分だったとはいえないと言い渡した。前審ではこの点が十分に解明されていないとして、審理をデュッセルドルフ高等裁判所差し戻した。

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