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2014/7/2

経済産業情報

独病院の経営悪化、16%で倒産リスク高く

この記事の要約

ドイツの病院の経営状況が厳しさを増している。ライン・ヴェストファーレン経済研究所(RWI)が6月26日発表した『病院格付け報告書』最新版によると、財務のひっ迫で病院の施設価値を維持するために必要な費用を十分にねん出できな […]

ドイツの病院の経営状況が厳しさを増している。ライン・ヴェストファーレン経済研究所(RWI)が6月26日発表した『病院格付け報告書』最新版によると、財務のひっ迫で病院の施設価値を維持するために必要な費用を十分にねん出できない病院はほぼ2軒に1軒に達した。RWIの試算によると、インフラ維持に必要な投資は国内の病院全体で54億ユーロに達するという。

2012年に赤字を計上した病院・病院グループは全体の35%に上り、前々年(16%)から2倍以上に拡大した。「倒産のリスクが高い」と判断された病院も同8%から16%に倍増している。特に深刻なのは公立病院で、ほぼ10軒に3軒(28%)が「高倒産リスク」と判断された。一方、民間病院では3%と低く、赤十字や教会など公益法人系の病院は16%だった。

公立病院の状況は地域によって差がある。東部ドイツが比較的良好であるのに対し、南部のバイエルン、バーデン・ヴュルテンベルク、ヘッセン、ラインラント・プファルツ、ザールラント州と北西ドイツ地域は非常に深刻な状況に置かれている。今回のレポートでは監査役会の規模が小さい公立病院は経営状態が比較的良好であることも明らかになった。

中道右派の前政権は13年4月、病院救済策として13~14年の2年間に11億ユーロを拠出することなどを決定した。RWIの担当者は、この措置により状況は当面、緩和されるものの、人件費などのコストは利益を上回るペースで上昇しており、中期的には厳しい状況が続くと指摘。現政権に対し支援の拡大を求めた。