2011/2/16

総合・マクロ

ハンガリーがメディア法改正案を提示、欧州委がEU法との整合性を検証

この記事の要約

欧州連合(EU)議長国を務めるハンガリーで今年1月に発効した「メディア法」をめぐり、EU内で報道の自由を制限するものだとの批判が高まっている問題で、欧州委員会の報道官は11日、同国政府から改正法案が提示されたことを明らか […]

欧州連合(EU)議長国を務めるハンガリーで今年1月に発効した「メディア法」をめぐり、EU内で報道の自由を制限するものだとの批判が高まっている問題で、欧州委員会の報道官は11日、同国政府から改正法案が提示されたことを明らかにした。欧州委は1月末、報道規制を強化するメディア法はEU法に抵触する可能性があるとして法改正を要求。これを受けてハンガリー側は今月7日、10日までに改正案を提出することに同意していた。欧州委はただちに内容を精査し、EU法との整合性について速やかに判断する方針を示している。

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オルバン首相率いる中道右派与党フィデス・ハンガリー市民同盟の後押しで昨年末に成立したメディア法は、新設のメディア監督機関「国家メディア通信庁(NMHH)」が新聞、テレビ、インターネットなど各種メディアの報道内容を監視し、公共の利益に反したり、政治的に中立でないと判断した場合、最大2億フォリント(約8,000万円)の罰金を科すという内容。さらにNMHHは国の安全保障に関わる報道について、記者に情報源の開示を求める権限を持つ。

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ハンガリー政府は技術の進歩によって形骸化した既存ルールを実情に合わせるのが新法の目的と説明しているが、報道が「バランスを欠いた」内容かどうかを判断するための基準が明記されていないうえ、NMHHのメンバー5人は全員が与党フィデスの関係者とされ、実際には同党やオルバン政権に批判的な報道が規制される恐れがある。このため先月開かれた欧州議会本会議では、EU議長国としての政策方針を示すために出席したオルバン首相に対し、メディア法の即時撤回を求める意見が相次ぎ、欧州委のバローゾ委員長も「ハンガリーのメディア法に重大な懸念を抱いている」と発言。同法が報道や表現の自由を定めたEU法に抵触する可能性があると警告し、改正を求めていた。

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