2011/2/16

ロシア

政府がVTB株10%を32.6億ドルで売却、大型民営化計画スタート

この記事の要約

ロシア政府は14日、国内第2位の外国貿易銀行(VTB)の保有株10%を957億ルーブル(32億6,000万米ドル)で売却した。総額1兆ルーブル超の民営化計画の先陣を切るもので、幸先の良いスタートとなった。金融株ではVTB […]

ロシア政府は14日、国内第2位の外国貿易銀行(VTB)の保有株10%を957億ルーブル(32億6,000万米ドル)で売却した。総額1兆ルーブル超の民営化計画の先陣を切るもので、幸先の良いスタートとなった。金融株ではVTB株10%の追加売却のほか、国内最大手スベルバンク株の7.6%が売り出される予定だ。

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イタリアの保険大手ジェネラリ(3億ドル)、米国投資会社のTPGキャピタル(1億ドル)など、機関投資家が株式を取得する。売出価格は、ロンドン証取市場で取引されるグローバル預託証券(GDR)が1口6.25ドル、通常株式が1株9.1468コペイカとなる。応募倍率が2倍に上ったため、市場の低調にも関わらず、売出価格は市価をわずかに下回るにとどまった。

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今回の部分民営化でVTBの政府出資率は75.5%に縮小した。政府は来年以降にさらに10%を売却するなど、最終的に出資率を5割強まで引き下げる計画だ。また、ドヴォルコヴィッチ大統領補佐官によると、完全民営化の可能性も検討している。国内最大手のスベルバンク株7.6%は年末または来年に売却される見通し。

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中国やインドなど他の新興市場から資本が流出するなか、ロシア株への投資は盛んになっているもようだ。今回の民営化について、ドイツの投資会社ヴェルムート・アセット・マネジメントでは、有力企業であることに加え、価格が適切であったことが成功につながったと分析。プーチン首相は「ロシアの金融システムと経済政策に対する投資家の信頼を示すもの」と満足の意を示した。民営化幹事はドイツ銀行、メリルリンチ銀行、VTBキャピタルが務めた。

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■経済の国家統制は継続

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政府は今後3年でロスネフチやロシア国鉄(RZD)など大手10社を含む850社を部分・完全民営化して1兆ルーブル超の収入を確保する計画だ。売却益は財政赤字の補てんに充てる。ロシアは10年にわたり財政黒字を計上していたが、昨年は赤字に転落した。ただ、原油価格の上昇で、その規模は国内総生産の3.9%と予想より小さいものにとどまった。

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民営化計画の第2の目的としては、経済に対する国の影響力を弱めることが指摘されている。しかし、ニューエコノミック・スクール(モスクワ)のグリエフ校長によると、国有経済の弊害を除去するには民間に経営権をゆだねる必要があるという。また、その時期についても、2018年以前に実施に踏み切らなければ、年金システムや財政を維持できなくなると話している。(1RUB=2.86JPY)

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