ドイツ政府が23日実施した新発10年物国債の入札は、60億ユーロの募集に対し、金融機関による応札は6割の約36億ユーロにとどまった。ユーロ圏の中核国であり、最も財政が健全とされるドイツの国債入札で調達予定額に届かない「札割れ」となったことで、欧州債務危機の深刻さが浮き彫りになった格好だ。
\投資家はユーロ圏の債務危機の拡大でスペインやイタリアの国債利回りが急騰するなか、安全な資金の逃避先としてドイツ国債の購入を積極的に進めてきた。その結果、ドイツ債の利回りはこのところ2%を切る水準まで低下していた。しかし23日の入札が不調に終わったことで、10年債の流通利回りは翌24日に一時2.2%弱まで上昇。約2年半ぶりに同年限の英国債の利回りと逆転した。
\ショイブレ財務相は入札結果を受け、「政府がリファイナンスに問題を抱えているということを意味するものではない」との声明を発表した。ドイツ国債の入札制度では、入札予定額に届かなかった金額分の国債はドイツ連邦銀行(中央銀行)が購入することになっており、札割れ自体は珍しいことではない。ただ、今回のように未達額が大きいのは異例で、債務危機が今後、ユーロ圏の盟主であるドイツをも蝕み続けるのではないかと不安視する市場関係者は少なくない。
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