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2012/2/8

経済産業情報

アップル製品の独ネット販売が一時差し止めに

この記事の要約

自社の特許を無断使用されたとして米モトローラが米アップル(Apple Inc.)を相手取って起こしている係争で独マンハイム地方裁判所は3日、当該特許を使用するアップルのモバイル機器の国内販売を差し止める判決を下した。対象 […]

自社の特許を無断使用されたとして米モトローラが米アップル(Apple Inc.)を相手取って起こしている係争で独マンハイム地方裁判所は3日、当該特許を使用するアップルのモバイル機器の国内販売を差し止める判決を下した。対象モデルはUMTS(3G)対応のiPhoneとiPadのそれぞれ2モデルで、判決を受けてアップルはオンラインストアでの販売ができなくなった。しかし、同社が判決を不当としてカールスルーエ高等裁判所に即時抗告したことから判決執行は停止され、同日午後には販売が再開された。

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モトローラは自社の特許3件をアップルが侵害したとしてマンハイム地裁に提訴。昨年12月9日の判決(訴訟番号:7 O 122/11)ではパケットベースの無線システムで端末側からのデータ送信の間にカウントダウンを行う機能に関するEU特許(EP 1010336 B1)についてアップルによる侵害が認定され、アップルはiPhoneとiPadのうち最新型のiPhone 4Sを除くUMTS(3G)対応モデルの独オンラインストアでの販売を差し止められた。

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今回アップルによる特許侵害が認められたのは複数のページャー(小型の液晶端末にデータ送信する移動通信システム)のステータスを同期させるシステムおよび方法に関するEU特許(EP 0847654 B1)で、iPhone 3GS、iPhone 4、iPad 3G、iPad2 3Gが該当する。

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いずれの案件も根底にあるのはRANDライセンス(Reasonable and Non Discriminatory Licensing)の問題だ。RANDライセンスでは、標準規格の基礎となる特許を保有する企業は競合企業に「公正な条件でライセンス供与」することを義務づけられている。アップルの広報担当者によると、同社はモトローラに特許使用料に関する条件を提示したものの、モトローラ側が受け入れを拒否したことがそもそもの発端であり、特許の「無断使用ではない」と強調する。

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今回の係争は先の案件同様アップルの米本社が訴えられており、直接影響を受けるのは同社の直営オンラインショップのみ。ドイツ国内の実店舗販売を担当する独子会社は対象となっていない。

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モトローラはアップルショップの実店舗での販売も阻止する考えで、独国内のアップルストア店(オンラインショップを除く)を運営する独法人を相手取っても昨年4月、デュッセルドルフ地方裁判所に訴訟を起こした。マンハイム地裁と同じ3件の特許侵害を訴えている。

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